コラム
口腔フローラとは?口腔内の菌のバランスを整えよう

様々な植物が種ごとに群生しているお花畑(=flora(英))のようであることから、細菌の様相をフローラと言います。
フローラの様相、つまり口腔内に生息している細菌の種類は、ヒトそれぞれ顔や個性が違うように、その人その人ごとに異なります。人相・手相が違うように、口腔内フローラもヒトそれぞれ。健康な口ならば、ある程度一定で、【病原菌】(「悪玉菌」)よりも良い常在菌(「善玉菌」)が優勢に保たれています。これを菌叢バランスと呼びます。またフローラの状態は、そのときどきの生活習慣や年齢、ストレスなどによっても影響を受け変化しています。

菌は発育の環境に依存して繁殖します。繁殖環境が歯周病菌向けであれば歯周病が、善玉菌向けであれば善玉が、より多く繁殖します。結果として、一方が増殖すればもう一方が抑えられるというように全体の数は定まっているため棲み心地のよいスペースでは細菌どうしのいつも激しい生存競争を繰り広げています。これは臨床的に診れば、重度歯周病の方には虫歯が少ないという所見に結びつきます。
当院で実施している歯周病治療「3DS」の目的は、この口腔内フローラのバランスを再構築することにあります。
歯周病における悪玉菌
Porphyromnas gingivalis など
虫歯における悪玉菌
Streptococcus mutans など
口の中と身体の他の部位とは明らかな環境的な違いがあります。それは、外界に接しているということです。食事は細菌の栄養源でもあり、当然細菌フローラの様相に影響を与えるわけですが、口腔内細菌に対しては、糖分の多い食事は直接的に細菌に栄養供給することにつながります。
また、皮膚の細菌フローラという概念もありますが、直接肉眼的に視認して清掃できること、出血創ではない事からも、歯周病に罹患していると歯肉出血を生じやすく、細菌が直接的に血中に入ることが問題になります。一方で腸内細菌は門脈系*)を介し肝臓にて解毒される点で口腔内とは血流に入った際の影響が変わります。
近年、腸内細菌フローラが大腸がんだけでなく、肝がんの発生にも関係していることが明らかになっています**)。血流に細菌が入るということが、いかにリスクがあることかを理解する必要があるでしょう。
*)門脈系は腹部臓器の血液を集めて肝臓に入る血管です。小腸と大腸の一部からは上腸間膜静脈、大腸下部からは下腸間膜静脈さらに脾臓から脾静脈となって肝臓に流れます。
**)原英二;肥満と肝がん:腸内細菌と細胞老化の関与について.生化学 第87巻第2号,pp.183‒187(2015)






