コラム
こんなにあるの?歯周病の原因菌の種類と菌の強さを解説!
歯周病の原因菌は実は一つではありません。口腔内には500種類もの細菌が常に存在する特殊な環境となっています。「糞便よりも数・種類ともに多くとても汚い」体内で最も汚染のひどい場所と言われています。下記は主要な歯周病の原因菌【病原菌】です。
歯周病の種類は大まかに生存条件によって分類がされています。酸素があるところで繁殖しやすい好気性菌、酸素がないところで繁殖しやすい嫌気性菌と分類され、さらに酸素があってもなくても繁殖できる場合を通性、そうでない場合を偏性として分類されます。
通常、人間であれば酸欠状態にすれば自ずと死んでしまいますが、歯周病原性菌はそうではありません。細菌の体制派が嫌気性菌よりに傾くという変化は起きえますが、死滅することはありません。歯周病菌の繁殖しやすい条件が異なるため、場所・部位により繁殖している菌が変化してきます。
では、どのような差が生じるのでしょうか?
歯周病が進行すると歯肉の腫れだけでなく、内部には、歯を支える歯槽骨に大きな骨欠損を生じるようになります。その結果、深部に病巣が出来てしまいます。この深部ということが、とても大切で、深部は外界から離れるようになることと同じことです。つまり、空気と触れにくくなる、酸素のない環境になっていくので、嫌気性菌が多数繁殖することになります。
再度、表を確認していただくと、歯周病を構成する主要な【病原菌】は嫌気性菌がほとんどであることに気づくと思います。残念なことに嫌気性菌は病原性も強く、難治性の歯周病の原因となる”Tannerella forsythensis(Bacteroides forsythus) “、”Porphyromonas gingivalis”、”Treponema denticola”といった【病原菌】は、すべて嫌気性菌という特徴もあります。
深部ゆえに、薬剤も器具も到達しにくく、かつ難治性の毒性を持つわけです。症例によっては下の写真のように歯肉をはがしてみると、深い位置にはっきりと病巣(ばい菌の巣)が出来ていることがあります。自らの口腔内に繁殖している菌を特定し、巣の位置をはっきりとさせて、ターゲットを絞った治療をすることが肝要と言えます。
口内の病原菌や病巣を特定する方法としては、以下のような手段があります。
*)お口に住み着いている病原菌を特定する精密細菌検査
**)歯茎を開くことなく病巣の位置を特定する歯科用CTでの高精度診断
検査や診断をご検討の方は当院HP「重度歯周病治療」のページもご覧ください。